No Gain without Pains

自動車関連エンジニアによる読書のすゝめ

【おすすめ本】車の運転が上手くなりたい人必見!稀代のレーシングドライバー 黒沢元治氏が贈るスポーツドライビング理論!

ドライビング・メカニズム ~運転の「上手」「ヘタ」を科学する~  黒沢元治

著者である黒沢元治(通称:ガンさん)さんは僕ら世代の車好きなら知っている人も多いと思いますが、元レーシングドライバーであり、ブリヂストンタイヤの開発ドライバーも務めていました。

そんなガンさんの自動車や運転技術に対する評論はいつも厳しく、そして自動車に対する愛情にあふれています。

私は、車が好きで、車の運転が好きで、この年になっても仲間とサーキットに走りに行ったりしています。

でも、この頃全然運転が上達していないように感じていました。

そんな時の突破口として本書を手にしたわけです。

当然、運転は運転でしか上手くなれません。

でも、運転する時に理論を知って考えて運転するのと、感覚だけで運転するのとでは、上達のスピードが違うと思います。

●全体の流れ

それでは、内容についてアウトラインを概観してみましょう。

  • クルマの運転の楽しさと難しさ
  • 黒沢流スポーツドライビング理論の構成要素
  • 実際のサーキットコース走行で黒沢流理論を試してみる

といった構成になっており、本編は136ページと短いのでスラッと読めてしまいます。

●まとめ

ドライビング理論についてのメインは2つ目の

  • 黒沢流スポーツドライビング理論の構成要素

です。

ここで、よく言われるスリップアングルやタイヤの摩擦円に関しても当然出てくるのですが、他の本にはない、そして最も重要な要素が出てきます。

それが、

「人間の生理的限界を知る」

ということです。

確かに言われてみれば当然の事なのですが、気にして運転していませんでした。

それは、脳が認知して身体が反応するまでの限界速度があるということです。

それは当然車速が高いほど影響が大きくなってきます。

認知してから反応していては遅いのです。

であればどうすればよいのか?

それは、少しづつ先を読みながら運転するのです。

ここでステアリングを切り始めると思ってから切っていては、切り始めなければならないポイントを既に過ぎているので、脳が指令を出して手を動かすまでのタイムラグを考慮して指令を出さなければなりません。

この練習は、一般道での普段の運転でもできます。

これって実は安全運転・事故予防にも応用できちゃいます。

少しづつ先を読むクセを付けると、周りの車の動きも先を読むようになってきます。

それは一つのパターンだけでなく、考えられるいくつかのパターンを読みながら、それぞれの場合に自分が取る操作について想定しておくことで事故を防ぐことができると思うのです。

 

また、最後の章では実際の鈴鹿サーキット筑波サーキットの各コーナーを例にとって、黒沢流のドライビング理論をあてはめて運転するとこんな走り方になるという事が書いてあるので、鈴鹿サーキットで練習している私にとっては、すごくうれしい内容でした。