「統計学が最強の学問である」を読んでみた
私が学生の頃、数学の確率の授業は最も苦手な科目だった。
何故か?
それは、
「確率なんて数学なのか?」
といった疑問をもっていたからのように今考えると思われる。
だからといって他の数学の分野が得意だったかというと全くダメであったが・・・。
それはさておき、統計学である。
確率とは切っても切れない関係だということは、なんとなく想像できる。
だから、この年になるまで興味をもたずに過ごしてきた。
しかし、たまたま自分の仕事で扱うデータを統計的に処理しないといけないことになり、慌てていろいろ勉強してみたら、意外とおもしろい!
と、その中の一冊が
●統計学が最強の学問である 西内啓
統計学に関する本としては異例のヒット本なのではないだろうか?
中身は難しい数式などはほとんどない。
統計学がいかに発展してきて、様々な分野でいかに威力を発揮しているかを教えてくれる。
文字も大きめで、非常に読みやすい。
数式を並べられると、眠たくなってしまう私にはちょうどよかった。
また、間違った使い方をしている人が非常に多く、使う場合の注意点も述べている。
いわゆる
「統計リテラシー」
だ。
さて問題は
「統計学が本当に最強の学問なのか?」
ということだが、最強かどうかは置いておいて、非常に重要な考え方であることは間違いないと思う。
それは、筆者が本の中で言っていることはもちろんだが、現代の世界は、古典力学に取って代わって、量子力学全盛の時代であるからだ。
量子論では、素粒子レベルでは、存在の有無は確率的にしか表せないとの考え方をとっている。
ということは、結局素粒子の集まりであるこの世界も確率に支配されているのではないかとも考えられるわけである。
そこで、統計学的な考え方というのは非常に重要になってくるのではないかと思う。
私は、そういう意味で統計学が今後さらに重要な役割を担うのではないかと考えている。
●たばこと肺がんに因果関係はあるのか?
最後に、この本では度々
「喫煙と肺がんの因果関係」
について統計データとともに示されている。
確かに、何も知らずに読んだら喫煙と肺がんには因果関係があると説得されてしまうことだろう。
しかし、環境問題への指摘で有名になった武田邦彦教授によると、
喫煙率は数十年前に比べて劇的に減少しているのに、肺がん患者はなぜ増加しているのか?という疑問から、「喫煙と肺がんには因果関係がない」との立場をとっておられる。
確かに、一昔前に比べて、自分の周りでも喫煙者の数は激減している。
それなのに肺がん患者が減少傾向という声は聞いたことがない。
※あくまで自分の感覚であり、データを確認したわけではないので、間違っていたら指摘お願いします。
それぞれの先生は、おそらくそれぞれの意見について知った上で主張していると思われるが、実際に会って、建設的な議論をして、現在の時点での結論を聞かせていただきたいものである。